授業コンテンツ
デザイン日本学A-2の授業の目的は、日本美術史を大きな流れとして俯瞰的に捉えることです。 特製の日本美術史チャートを用いることで、先史時代から明治に至るまでの美術の系譜を一望し、絵画を中心に、覇権史、美術史、建築史、装飾芸術史など多様な視点を交えて理解できるように構成されています。このチャートは単なる年表ではなく、時代ごとの文化的背景や社会の変化と美術の発展を関連づけ、学習の道筋を明確に示す羅針盤となるものです。 今回の授業の目的は、日本美術の各時代を細部にわたって暗記することではありません。むしろ全体像を把握し、時代ごとの特徴や連続性を掴むことで、今後の学びをより深く、より意味のあるものにしていくための基盤を築くことにあります。例えば、縄文や弥生のプリミティブアートに見られる素朴な造形感覚は、後の装飾美術の発展に潜在的な影響を及ぼし、奈良や天平の仏教美術は、日本独自の造形美の出発点として位置づけられます。さらに、武士の台頭とともに花開いた安土桃山や鎌倉期の美術、江戸時代の多様で華やかな表現、そして近代における文化の断絶と再編といった流れを俯瞰することで、美術の変遷が日本社会の歴史そのものと密接に結びついていることを実感できるでしょう。 教材としては、特製チャートに加え、約3時間の動画視聴(1.5時間×2本)を用意しています。映像による解説は、視覚的な理解を助けるだけでなく、チャートとの相互作用によって記憶に残りやすくなっています。さらに関連資料を通じて、より多角的に理解を深めることができます。 この授業を終える頃には、日本美術史の流れを一つの大きな物語として理解できるようになり、次の段階で各時代やジャンルを深掘りしていく際に、常に全体の中で位置づけながら学ぶことが可能となります。まずは俯瞰的な視点を得ること、それこそが日本美術を真に学ぶための最初の大切な一歩です。 目次 第1章 先史時代 縄文、弥生、古墳時代のプリミティブアートと工芸 第2章 天平、奈良、飛鳥時代の仏教美術 第3章 鎌倉、安土桃山、武士の台頭に伴う装飾美術の勃興 第4章 円熟と百花繚乱の江戸時代 第5章 明治の文化断裂とその後の影響 ※今回の授業で最も重要なことは、まず俯瞰的に日本美術史を理解することです。今後の授業で必要な項目は深堀りしていきます。
